おける課税売上高が5,000万円以下で、その課税期間開始の日の前日までに『消費税
簡易課税制度選択届出書』を提出している場合に、実際の課税仕入れ等の税額を計算
することなく、課税売上高に対する税額の一定割合を仕入控除税額とする制度です。
この一定割合(みなし仕入率)は、卸売業(第一種事業)、小売業(第二種事業)、製造
業等(第三種事業)、その他の事業(第四種事業)及びサービス業等(第五種事業)の5
つに区分し、それぞれの区分ごとに定められています。
簡易課税制度は平成27年4月1日以後に開始する課税期間より改正が行われることと
なりました。
大きく変わるのは金融業・保険業及び不動産業で、現行の第四種事業のうち、金融業
及び保険業を第五種事業とし、そのみなし仕入率を現行の60%から50%とするととも
に、現行の第五種事業のうち、不動産業を新たに新設した第六種事業とし、そのみなし
仕入率を現行の50%から40%とすることとされました。
{みなし仕入率}
・現行
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業等 70%
第四種事業 その他の事業 60%
第五種事業 サービス業等 50%
・改正後
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業等 70%
第四種事業 その他の事業 60%
第五種事業 金融業及び保険業
サービス業等 50%
第六種事業 不動産業 40%(新設)
※保険業には、生命保険業や損害保険業の他、保険代理店が含まれます。
※不動産業には、不動産賃貸業、駐車場業、不動産管理業、土地建物売買業、不動産
仲介業が含まれます。
前述のとおり、この改正は平成27年4月1日以後に開始する課税期間より適用されますが、
この適用開始日に関しては、経過措置が設けられています。
消費税簡易課税制度選択届出書を提出していない事業者が平成26年9月30日までに
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すると、届出書の強制適用期間である2年間は
改正前のみなし仕入れ率が適用されることになります。
これに伴い簡易課税制度を選択している会社は、簡易課税制度と本則のどちらが得かを
また検討しなおす必要が生じてくるかと思いますし、これから簡易課税制度の適用を行う
会社は、みなし仕入率の経過措置の利用の検討が必要となります。
選択届出書の提出期限は、基本的には適用しようとする課税期間開始の日の前日までと
なっているため、平成27年4月から簡易課税の適用を開始したければ、平成27年3月中に
検討し、提出有無を決定する、としてしまうと今回の経過措置の適用を受けることができま
せん。
経過措置の適用を受けたい場合には、平成26年9月末までに届出書を提出する必要があ
りますので提出漏れのないよう注意したいものです。
茨城本部 香川
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